学習塾を起業し、11年に渡り経営、指導そして譲渡した経験をもとにお話します。
多くの子供達と保護者と接してきました。
通う子の継続平均年数は3年くらいでしたが、長い子は9年、8年つづけてくれる子も多かったからこそ言えることがあります。
小中学生の時に入塾して、大学入学まで通う子が多かったということです。
まず、一つ言えることは、勉強のでき不出来と、社会に出てからの仕事というのはなんの相関性もありません。
そのため、このタイトル自体、本当はおかしいのですが、勉強ができないと将来困ると思っている人が多いようですので、あえてこのタイトルにしています。
みんなそんなことは知っているはずなのに、せめて平均点が取れないと、将来が不安になる親が多いです。
勉強できない子でそれを心配している子は逆にあまりいません。もしいるとしたら親の影響でしょう。
ここでは、勉強を苦手な子には環境を見せることが大事だという話をお伝えします。
それによって、自分の得意な分野をより磨くことができ、自信を持つことができるようになります。
ここでいう勉強が苦手な子とは、成績が2〜3の前半くらいの子を意味します。
学校のテストで平均点から10点低いくらいまでの子をいいます。
中学生に上がったら子供の興味のある習い事を増やす
小学生は多くの場合、多くの習い事をしていることが多いかと思います。
中学受験をする場合は、高学年からは塾一色かと思いますので、そういう子供の場合はここではお話しません。(中受の集団授業についていけているのならば、中学になってから極端に点数がとれないということは普通はないです。レベルの高いところに入ってつまづくことはあるにはありますが)
通常の公立中学に進む前提でお話をします。
小学校の成績はかなりぼやかされていてわかりにくいかもしれませんが、普段の学校のテストで50点とか60点が普通にある場合は、おそらく中学に入ると成績が2くらいになることも多いです。
小学校の(教科書準拠の業者が作った)テストは授業でやった内容をそのまま終わってテストをしているようなものですから、平均的に80〜100点はとれるようにできています。そのテストで、50点や60点というのは平均よりも低い可能性が高いです。
今の学年が小学生の3年生くらいであれば、家庭教師を雇ったり、親が勉強をみたりして、徹底的に教えると点数はとれるようになる場合もあります。ただ、それが子供にとって本当に良いことなのかということもありますが、ここでは保留にしておきます。
だいぶ話がそれましたが、勉強が苦手な子の場合は、中学生になったら部活と塾だけにしてはいけません。
その子の習いたい、というところに投資をしてください。
例えば、プログラミング、Youtuber、イラスト、楽器のドラム、ダンス、語学でもなんでもいいのですが、子供が習いたいというところに通わせたり、機材を揃えたりして子供が自分で行ったり、学んだりする環境を作るのです。
イラストをやりたいというのならば、ipadとタッチペンだったり、Macと液晶タブレットだったりと必要な機材があるかと思います。ドラムを習いたいというのならば、防振マットや電子ドラムを揃えたり(中古でもいいでしょう)、教室を探したりします。
確かに、お金はかかります。ただ、言っても安くすまそうと思えば10万円以内でもできるでしょう。Macと液タブだと安くそろえても20万円は超えますが、PCに慣れてもらうためにはどちらにしても早めに渡しても良い機器です。
中学生は部活もあります。運動部によっては週6とかあって他の習い事ができないという場合は、本当は部活自体も考えた方がいいです。もちろん、あるスポーツに打ち込んでいるために週6ということであれば問題ありません。
個別指導塾のいいなりになって課金をしない(特に講習)
集団授業の塾であれば学年によってそもそも決まっているお月謝を支払う形ですので、一般的には気を付ける必要はありません。
問題は個別指導の塾です。
勉強が苦手な子には個別指導は向いています。そのため、個別指導塾に通わせている方も多いと思います。
ただ、個別指導塾の怖いところは、長期休みなどで、相手のフトコロに合わせて課金させるところです。
通常のお月謝は毎月3万円程度なのに、夏休みになると20万円、30万円というのは割と普通にあります。
なぜそのようなことになるかといえば、朝から夜まで授業を入れて数十コマ〜100コマというコマ数を買わせるからです。
1コマ単価が3000円としたら、100コマで30万円になります。
※コマとは、1回あたりの授業のことで60〜90分程度が多い
夏休みは約40日ありますから、お盆の数日を除いたとしても35日あります。
そうすると、毎日3コマの授業を、午前、午後と入れると大体使い切ります。
成績が4〜くらいの子であれば、5科目を学ぶことでそれなりに効果が出る可能性もあります。
しかし、成績が2〜3くらいの子にとっては、やってもテスト前にはほとんどを忘れてしまい、あまり効果が出にくいです。
もちろん、個別でもその子の忘れる程度がわかって、全範囲を把握し、テストを繰り返して定着させることができる講師であれば、もちろん意味はありますが、個別指導の場合はほとんどそこまでの部分のフォローはできないことが大半です。(個別指導の講師の時給は集団に比べて安いことが多く、大学生であることが多いです。大学生が悪いというわけではなく、一人一人のスケジュール管理までは時間内ではとても対応できないです)
※よくあるチェーン塾の一人の講師で3人~4人の生徒を見ている場合は、お月謝は安く見えるので注意。実質、自習サポートという形になってしまう。
成績が2や3の前半の子にとっては、長期休みに20万円〜30万円といった費用をかけてもほとんど無駄になってしまうので、通常の2倍にする程度(普段が3万円ならば、6万円など)で良いでしょう。それもテスト2週間前からの部分に集中して入れてもらうのがいいです。
塾に課金しない代わりにその子の好きな分野に投資する
夏休みなどの長期休みがある時には、集中して子供の好きな分野に投資するようにします。
好きなこととできることは違うという側面はあるのですが、子供の場合は、割と好きなことは続けることが苦にならないため、得意になれることが多いです。
高校3年生などになると好きなことと、得意なことが別々になってしまうこともあるのですが、中学生くらいであれば、子供が興味の持っている分野に投資をしてあげたらいいでしょう。
投資するとは、上の項目に書いた、機材をそろえたり、教室に通わせるといったことです。
一度やってみたら、それで満足して辞めてしまうということも多いけど別にそれでいい
子供に限らないのですが、大人の私もよくやるのですが、「面白そう!」と思って機材一式そろえて、少しやってみてもう満足して辞めてしまう、ということはよくあります。
そこで叱ったらダメです。
まぁ、楽器系などは買って少しYoutube動画で練習して結局、飽きてやらなくなる、ということはよくあります。
それはそれでいいのです。
ただ、楽器などは買う時にある程度子供にもお金を出してもらうというのも大切です。
親に言えば買ってくれるから、それでいいや、というのは良くないです。
慎重に考えるようになることも大切だからです。
例えば、4万円の楽器を買うなら、1万円は少なくとも払ってもらう、という具合です。
大人にとって、4万円はすぐに用意できる金額ですが、小中学生の子供にとっては、1万円も大きい額でしょう。
いろいろ手を出してみて、一番つづけられるものが見つかればそれでいいのです。
何が楽しいか、ということはやってみないとわからないことが大半でしょう。
大人は自分が習いたいと思えば、それを習うことができますが、子供は少なくともそういうことはなかなかできません。
その子供がならいたいと思うものの環境を用意することが大切です。
専門性の高い高校選びや大学選びは調べて早めに見学に行く
成績が2や3というと選べる高校もほとんどないのが実情です。
だからこそ、中1などのうちから、興味のある高校や大学に連れて行くことが大切です。
ここまでの内容を見ると、一見、勉強が苦手な子は勉強に時間を割かなくていいという内容に見えたと思います。
勉強だけに割かなくていいと言っているだけで、別に勉強しなくていいというつもりはないんです。
その子の興味を持っている内容が美容系の学校なのか、美術系の学校なのか、コンピューター系の学校なのかによりますが、何かに特化したことを学ぶことができる高校はあります。
できれば、そういう子供が興味のある分野について学ぶことのできる高校の説明会や文化祭になるべく早いうちから連れて行くことで、今、子供自身がどうしなければならないのかということについて気づくことができるのです。
進路指導の先生に話を聞けば、必要な内申点などもわかります。
将来に必要だから勉強しろ、なんて言ったって意味がないんです。
そう子供の時に言われて、勉強をするような人はほとんどいないでしょう。
だから、中1であっても具体的に、自分の興味のある高校に行くには成績がいくつくらい必要で、どんな子たちがいるのかを見るようにするのです。子供はそれを見て、自分が必要だと思えば勉強もします。
親は一度通った道だから知っています。
でも、子供はまだ見たことがないから、「勉強しろ」と言われてもわからないのです。
その高校や大学を見てみて、自分が頑張ろうと思うか、別にいいや、と思うかはわかりません。
どっちでもいいのです。
ただ、子供が知識不足のために進路を断たれることがないようにするのは親の責任です。
「勉強しろ」というのは、禁句です。
意味がないです。
親の自己満足にすぎません。
そんなことを言う前に、何かを学びたいと思える環境を与えることが親の役割です。